本のこと_いちばん高かった本
『ホットイン石巻の10月は本や読書をテーマに、投稿をしましょう!』とのHiRooooMiさんからのお達し。
というわけで、『シェフのきまぐれサラダ的ブログ』も本をテーマに、気まぐれにおしゃべりします。
初回は『いちばん高かった本』
毎月お給料が口座に入金され、支払うべきものが口座から引き落とされ、残った分が私のお小遣い。
ちょっと油断をすれば、はかなく消えてしまう額。
それでも、欲しい本があると、躊躇なく買ってしまいます。『本』はなんと言いますか『いいもの』なので、それにお金を使うことは『いいこと』であるからして、使っちまった後、罪悪感に襲われることがありません。
しかし、躊躇ないのは1万円以内の場合であり、1万円を超えたとたん、しっかりと心にブレーキがかかります。
何日か迷った末、ブレーキが解除され2万円弱の美しい本を買いました。おそらくこれが私史上『いちばん高かった本』
Grace Coddington:『The American Vogue Years』
アメリカ版「Vogue 」の伝説的編集者グレース・コディントンの作品集です。
時が経っても、ちっとも色あせないうっとりする写真の数々。
何度となくページをめくっていますが、飽きることがありません。
グレースは自伝(オレンジ色の本『GRACE A MEMOIR』)で
❝『ヴォーグ』のオフィスはクールで洗練されたファッションの聖堂だとする部外者の過大評価とは裏腹に、ときとしてそこは女子校ー陰湿なけんかや涙、女子高生じみたヒステリーが見られるーという表現がまさにぴったりな場所なのである。❞
と書いています。
それは、「ヴォーグ」誌のドキュメンタリー映画『The September Issue』(邦題:ファッションが教えてくれること)を観ると『ほんと、そんな感じ!』と頷けます。
編集長アナ・ウインターの鬼っぷりに、怒ったり、毒づいたり・・・まさに”クールで洗練されている”とは程遠い様子が何度も映し出されます。
その一方で、撮影に対するグレースの姿勢はちょっと感動もの。
だから『仕事の結果』としての一枚一枚の写真は、色褪せず、ロマンティックでゴージャスで美しい。
小説を読んでいて、文章に心がギュッとなったり、美しいファッション写真に、ドレスの柔らかな手触りを想像したり・・・
ページをめくりながら過ごす、幸せな時間をもたらしてくれるものと考えれば、『本』は決して高いものではないのかもしれません。